StartFragment 神道は宗教ではないという人がいます。果たしてそうでしょうか。だとしたら、神社は何のためにあるのでしょう。神職は只の神社の管理人でしょうか。結論から言えば、神道は宗教です。実際に神を祀り、様々な祈願をするわけですから、現代の概念で言えば明らかに宗教です。現代人の宗教に対する一般通念は以下のようなものでしょう。教祖、教義、教団、戒律があり、信者はひたすらそれに従うものでであると、そういう意味でいえば。神道は宗教ではありません。神道には、それらの要素はほとんどありません。教祖もいなければ、明確な教義、経典、戒律もありません。それらを有するものは、教祖宗教といいます。ユダヤ教、キリスト教、イスラム教、仏教等がそうです。一方、神道、道教、ヒンズー教等は、自然宗教と言って、各民族間に自然発生したものです。だから教祖はいません。教祖がいないので、信者もいません。神道には、氏神・氏子という血縁関係(タテ)と、産士神・産子という地縁関係(ヨコ)とがあります。どちらも、神と人との直接関係であり、人は本来介在しません。神職は村人の代表として神社を管理しているわけで、決して教祖のような存在ではありません。神との直接交流が神道本来の姿です。そのために祭りがあります。祭りを通して、神と人とが直接つながる、それが宗教の始原の姿であり、神道はその形態を残している世界的にも貴重な宗教といえましょう。 EndFragment